白谷雲水峡から太鼓岩
そうして屋久島原生林散策

2005年11月2日 (火)   

屋久島は、平均気温が20℃近くあり亜熱帯の気候だが・・・
標高2000m近い山頂では6℃位で北海道並みの寒さで、亜寒帯に近い気候となります。
屋久島は直径30Kmに満たない島ながら、垂直方向に大きく変化する特異な気候分布により、
南北2000Kmに及ぶ日本列島の自然が凝縮されているのです。





白谷雲水峡は、宮之浦から車で白谷林道を約40分ほど登った所にある
標高約800m〜1300mの白谷川流域に広がる自然林で・・・
もののけ姫の舞台といわれる苔の森と、花崗岩の渓流が織り成す自然のハーモニが奏でる
沢山の屋久杉と照葉樹林などの森林浴が楽しめるコースです。
コースは色んなバリエーションで楽しめ・・・
弥生杉をメインとした遊歩道の・・・30分コース
三代杉などのいろいろな屋久杉が見られる・・・2時間半コース
辻峠を通り太鼓岩まで往復する・・・5時間半コース

カラッチ隊は、辻峠を通り太鼓岩→屋久杉原生林を散策してみようと思います。


コースタイム    白谷雲水峡入口(8:50)→くぐり杉分岐(9:40)→白谷小屋(9:50)→辻峠(10:25)→太鼓岩(10:50〜11:35)
   →辻峠(11:45)→白谷小屋(12:10)→屋久杉原生林を廻って→白谷雲水峡入口(13:50)
(※ コースタイムについては、専門書を参考に行動して下さいね!)



白谷雲水峡入り口 二代杉までこんな散策道が整備されていました〜


標高600mにある白谷雲水峡には、駐車場、トイレ等が整備されています。
管理棟で300円の環境整備推進協力金を払い、散策路にそって歩く。
憩いの大岩 と呼ばれる巨大な岩を通り、
花崗岩の大岩の間を勢い良く流れ落ちる 飛流おとし と言われる沢を見ながらさらに登る。
スギ材を使った階段や、屋久島の石を張った遊歩道などがあり
30分コースでも充分渓谷美を楽しめますが・・・
原生林歩道を歩けば、多くの変わった屋久杉を見ることができます。



憩いの大岩 飛流おとし・・・と呼ばれる美しい滝




さつき吊橋 koji 様 提供)
原生林歩道入口を右に見て、左のさつき吊橋を渡り、楠川歩道へと進みます。


くぐり杉 七本杉 ( koji 様 提供)


楠川歩道を登って行くと くぐり杉 に出会いました。
くぐり杉は・・・比較的良く見られる倒木更新で、
ヤクスギより腐りやすいツガなどの倒木の上に育ち、こういう風に穴があいたらしい。
二股になった部分を通って歩けましたよ!
樹高18m、胸高周囲 8.3mで、その幹にはヤマグルマなどが着床していた。

白谷山荘をしばらく登ると、幹全体が苔におおわれた見事な 七本杉 がありました。
七本杉は・・・樹高18m、胸高周囲8,3mあり、

その名前の通り、太い幹の上に7本の枝に分かれていました。





白谷山荘
水量のある白谷上流を渡りしばらく登ると白谷山荘に到着しました。
白谷山荘には、トイレ、水場もありましたが・・・
あまり泊まりたくないなと思えるような避難小屋でした。



楠川歩道に入ると、もう〜ものの怪の感じ 照葉樹林の下は苔むした・・・こんな道


さつき吊橋から急登し、白谷川右岸の照葉樹林帯・・・楠川歩道を歩き太鼓岩を目指します。
その昔、こんな薄暗い岩がゴロゴロした道を伐採した屋久杉など運び出したのでしょうか〜
およそ1時間程歩いた頃、やっと辻峠に到着しました。


辻峠
白谷山荘から苔むした歩道を登りきると、
安房川との分水嶺、標高970m
の地点にある。
ここから下ると、小杉谷と大株歩道とを結ぶ
トロッコ道に出る。

太鼓岩には、ここから・・・
急登を20分程登ります。


辻峠から、左の急な道を這うように登って行き、
斜面を回り込むように少し歩くと、一気に開けた大岩の上に出ました。
奥岳を見渡せる標高1080mの 太鼓岩 です。
太鼓岩は、かつて地元の人だけが知る絶景ポイントだったそうです。
眼下に小杉谷の紅葉がうっすらと広がり、安房川上流の川面も見えます。
一昨日には、あの安房川上流のトロッコ道を辿って縄文杉を見に行ったっけ!



太鼓岩から眼下の・・・小杉谷の紅葉 太鼓岩からの・・・奥岳


太鼓岩の上に座ると、心地よい風の音が聞こえてくるようです。
そう〜まさに、太鼓岩・・・五感で雄大な風景を味わえる場所だったのです。


太鼓岩で・・・上の二枚の画像をお借りした、神奈川県から来られた「koji 様」とお会いしました。
この方は「こどもといっしょにどこいこう!」という素敵なページを開設していらっしゃいます。
koji さんの屋久島滞在記も素晴らしいです! ぜひご覧下さいね〜


遠くに宮之浦岳をはじめとする主な奥岳が、並んで見えるのですが・・・
今日は雲がかかって残念ながら見えません!
ここ「太鼓岩」は・・・もののけ姫の「山犬とアシタカが休憩した岩」とか、
辻峠からトロッコ側に少し下った所にある「辻の岩屋」は・・・
モロ一族の住む、岩屋のモデルになったそうですよ。



ものの怪の森
映画「もののけ姫」のモデルになった
苔に覆われた神秘的な森・・・
倒木や切り株、岩、樹木まで
苔に覆われて、鬱蒼とした森は・・・
独特な雰囲気を醸し出していました〜

そこに現れたる・・・もののけ姫  →
(^∇^) キャハッ


「もののけ姫の森」と呼ばれる森の辺りには、あの宮崎駿監督が何度も足を運び、
映画「もののけ姫」の森のイメージをつくりあげたそうです。
 映画の中でも・・・白谷雲水峡の森を描いているシーンがありましたよね!
カラッチ隊、行きも帰りも、この「ものの怪の森」を通りましたが・・・
静かで美しい苔に覆われたこの空間、
そして重厚な味わいのあるこの森は、独特の雰囲気を醸し出していました。
木の霊がいてもおかしくないような、そんな感じさえしましたよ!
いえ・・・きっといたのかも〜〜

皆さんここで、あの映画「もののけ姫」の世界に浸っていらっしゃる様子でした。
ある外国の方は・・・
じっと佇んで瞑想にふけっていらしゃるようにも見えました。



根が露出しています くぐり杉を通るカケス 二代くぐり杉


白谷小屋から屋久杉原生林のコースに入って直ぐの所に くぐり杉 二代くぐり杉 がありました。
ちょっと画像が暗くて分りづらいのですが・・・
二代くぐり杉 はその名の通り二代杉で大きさを実感出来るものでした。
こちらも倒木更新でおそらく岩か何かを巻き込んで、それが流されて出来たものでしょう〜
二代くぐり杉から800m程で奉行杉に出会いました。



カラッチ、転んでる訳ではあ〜りましぇ〜ん! あらわな姿で寝てる訳でもないよ〜(笑)



樹高24m、胸高周囲8.5m の 奉行杉 には、樹幹に試し切りしたような跡が残っていました。
その昔、切り出そうとしたのでしょうか〜〜
幹は苔に覆われ、着生植物の根が巻きついていました。
奉行杉もとても大きな屋久杉で・・・
上のカラッチが寝転んでシャッター切ってる姿と比べると、その大きさが分って頂けますよね。
屋久島奉行が伐採を見に来た時、根元に座ったのでこの名が付いたそうです。





屋久島の苔は水分を多く含んでいるからであろうか〜 とても綺麗で〜す!
深い原生林の森にはガイドさんに案内される幾つかのグループに遭遇しました。
思ったより大勢の方が歩かれているようです。
しかし、数分もすると人の気配は木立の中に消えていきます。
深い屋久島の森を実感する瞬間で〜す。
殆どの方達が、さつき吊橋から原生林歩道に入られるようで・・・
カラッチ隊は逆コースで歩いているのですが、結構登りがあって大変でした。





何度か沢の渡渉を繰り返しながら、原生林を歩きます。
今の時期なら問題ありませんが・・・
大雨の後など一気に水かさが増える頃には、注意が必要でしょ〜
三本槍杉は、ほぼ同じ大きさに3本に分かれ、そこから直立する杉でした。
ご覧のように倒木の上に、新しい枝が立ち上がっています。
一番大きいもので・・・樹高 25m、胸高周囲 2.7m あります。
二本目が・・・樹高 25m、胸高周囲 2.4m 、
三本目が・・・樹高 24.2m、胸高周囲 1m だそうです。



びびんご杉 三本足杉


びびんご杉・・・この杉は切り株に発芽し、根を下ろした二代杉で樹齢は300年未満の若い杉で、
平成11年に一般公募で名づけられたものらしい。
親子が「肩車」をしているようなほのぼのとした光景になぞらえて命名されたそうです。
びびんごとは・・・鹿児島弁で肩車だそうです。

三本足杉・・・その名前の通り、基部が3つに分かれて大きく張り出していました。
倒木あるいは転石に着生して成長し、それを大きく抱え込み
その後、土台となったものが押し流されて現在のような姿になったらしい!
杉自体はそんなに巨木でも古木でもありませんが・・・
樹高 25m、胸高周囲 3.9m あり、その姿は存在感がありましたよ〜





二代大杉 (樹高32m、胸高4.4m)は、倒木更新で倒木が腐って空洞ができたものだそうです。
基幹部分は空洞でありながら・・・上を見上げると
青々とした枝が茂り、とてつもない屋久杉の生命力を感じました。

ここでお昼も過ぎたので、一度白谷雲水峡の駐車場まで戻り・・・
昼食を済ませて、もう一度白谷雲水峡に入らせて頂き、弥生杉を見てきました。
本来なら遊歩道沿いに周回コースがあるのですが、がけ崩れによる工事中で
一度白谷雲水峡入り口近くまで戻って登らなければ見れないのです。





弥生杉 は・・・推定樹齢3000年・白谷雲水峡最大の屋久杉で・・・
樹高26.1m、胸高8.1m もあり、凄いパワーが溢れてるようでした。
上部の枝分かれの様子や複雑な幹の形から、伐採されることなく残された巨大な屋久杉の一つで
ぐるりと取り囲む展望デッキがあり、間近で見れます。
樹上にはナナカマド、コバンモチ、カクレミノ、サクラツツジなどが着生し、
根元にはアリジゴクが住んでいるそうです。
弥生杉を見に行く途中でも、屋久シカや屋久サルが出迎えてくれましたよ!

こうしてカラッチ隊の屋久島を歩く旅も終盤を迎えました。
今日も尾之間温泉で汗を流しました。
明日は、島を一周して大川の滝や海中温泉の方にも行ってみようと思います。

荒川登山口から縄文杉のレポ

淀川登山口から宮之浦岳のレポ

屋久島巡り



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