下 ノ 廊 下


日  時    2004年9月11(土)〜12日(日)    快晴


今回我々が参加しているもう一つの山登りの会から、黒部の下ノ廊下を歩くことになった。
昨年カケスの知人から「下ノ廊下を歩かないか」とお誘いがあった時には
とてもそんな危ない所は歩けないよ〜ってお断りしたのだが・・・
今年になって下ノ廊下の計画があることを知り、一番に N 会長さんに
連れて行って下さいとお願いしました。
そうしてこの日を迎えた訳ですが・・・なんと総勢31名
N 会長さんの勇気ある決断に頭が下がりま〜す!

9月10日の夜大型バスで出発し、扇沢に着いたのが翌朝6時過ぎでした。
朝一番のトローリーバスに乗り込む為、早めに身支度整えて並ぶ。
その間に、今朝爺ケ岳から鹿島槍に登る予定の sora ちゃんをキョロキョロ探すが見当たらない!
時間待ちの間にハイジちゃんやマーガレットちゃん、 sora ちゃんに電話を入れ
素晴らしいお天気になったことを報告すると、ハイジちゃんから明日の方がもっと良いお天気だよ〜
って聞いて・・・W ^.^ W ヤッタネ!



黒部ダム直下

下ノ廊下登山道はこちらをご覧下さい!


トロリーバスの黒部ダム駅から駅舎に入らず、トローリーバスの先頭車両の前をそのまま進み
トンネル状の通路を通って外部に出る。
ダムの下の「新歩道」と書かれたジグザグの道を下る。
河原まで出たら木橋を渡り、左岸に行くと直ぐに高巻道となった。

鳴沢の出合い付近  内蔵助出合付近 黒部の魔人と言われる大岩壁
だんだん下ノ廊下の様相となってきた 滑らないように・・・

岩場を水しぶきを上げて滝が落ちる岩小屋を通過し二つの木橋を渡ると、内蔵助谷出合に出た。
この辺りから真砂岳への登山道もあるらしい!
対岸には、まっすぐに落ちる美しい「新越ノ滝」が見える。
内蔵助谷の流れを渡り、約10m程の梯子を登ると岩棚の道となり、
川の両岸が高く聳えたゴルジュを見上げながら進み、ルンゼが押し出したような所で木の梯子を登り高巻く。
潅木帯のしっとりした雰囲気の道を進むと棒ノ木平に出た。
岩壁をえぐったような道が続き、滝との出合いとなる。

二つの木橋を渡り・・・ こんな雪渓を巻き越えて行く

目の前に雪だるまの片割れのような巨大雪渓が出現、その雪渓を高巻きするために
ロープに捉まっていったん登るのだが、下が雪のため滑ってなかなか思うように進めない!
実はこの箇所が危険な為、阿曽原温泉小屋のスタッフの方がここまで迎えに来て下さった。
滑りやすいのと、ロープに負担かけないように一人づつ登ったので、かなりな時間を要した。
ここから梯子で下ったが、全員通過するのになんと1時間半もかかってしまった!
スノーブロックが谷底に転がっていたり、谷の横には巨大なデブリがあちこちにある。

いよいよ核心部の白竜峡ヘ・・・ カラッチ、Vサインなどしてる場合ではないよ〜
半月峡の辺り・・・高度感タップリ! カケスが通ってるのがわかりますか〜

黒部別山沢を石伝いに渡ると、下ノ廊下の核心部である白竜峡へと入っていく。
水が勢いよく流れ、桟道を歩く時は下を見るとヒヤッとする。
この辺りの谷が、白竜峡のゴルジュと呼ばれるとこらしい!
(ゴルジュ=川の両岸が高く聳え川幅が狭くなったところで「函」ともいう)
澄んだ青色の泡が立ち、その美しさに思わず息を飲む。
梯子でタル沢のスノーブリッジを高巻くが、なんともアクロバティックだ!
両側は岩壁となっていて谷間は狭まり、深い渓谷で、すさまじい高度感だぁ〜〜
う〜ん、さすが下ノ廊下・・・こわぁ〜い!すご〜い!たまらな〜い!!

白竜峡に向かって勢いのよい流れ 白竜峡のタル沢行くメンバー
落ちると下は残雪のある流れ! 冷たいぞ〜 白竜峡の水平歩道で余裕のカケス!

やがて潅木が現れ歩きやすい道となり、二箇所ほど水流のあるルンゼを渡り、
さらに激しい滝のシャワーを浴びながらルンゼを越える。
十字峡の手前にテントが張れるスペースがありました。
樹林帯の平らなところで一息ついて・・・十字峡を見ながら、木の吊り橋を渡る。
十字峡は剱沢と、爺ヶ岳を源頭とする棒小屋沢が
十字のように黒部川に流れ込むので、その名前がついたらしい!
辺り一帯は深い渓谷の趣だ。 息を呑むくらい素晴らしい!!


白竜峡の綺麗な流れ


剱沢にかかる吊橋から十字峡を見る


高度感のあるS字峡

ガレ場で出合う半月沢を越えるとS字峡が近くなる。
この辺りは、沢床からはるか上部を延々と100mばかりスリリングな道となる。
つまづいたりしないよう十分な注意を払いながら歩く。
しかしながら、その昔こんな所に岩壁をくり抜いてよくぞ・・・こんな道を作ったものだと感心する。
人間の力って凄〜い!!

対岸の山腹に奇妙な人工物が見えてきた。地下の黒四発電所からの送電線引出し口らしい!
東谷吊橋を渡ると、あとは仙人ダムまで林道歩きとなる。
トンネルに入りそのまま車道を進むと、やがて仙人ダムだった。
関西電力専用のトロッコ電車の軌道を走る橋を渡って左岸へ・・・
ここから右にダムの施設である「高熱隧道」と呼ばれる、熱い蒸気が噴き出しているトンネルをくぐり抜ける。
関西電力の社員寮の玄関を通らせて頂いて、人見平の草原に出た。

十字峡の吊橋 下が見えて結構怖いで〜す! こんな岩壁をくりぬいたような水平歩道
長〜い東谷吊橋 阿曽原温泉小屋が眼下に小さく見える(翌朝撮影)

阿曽原温泉小屋へは、この先標高差100m程の尾根の急登を息を切らしながら登る。
そうしてまた水平歩道となった。 これがまた長かった〜(#´ο`#) はぁ〜
阿曽原温泉の湯煙が下の方に見え出した頃、今度は急な下りだ!
残念ながら、阿曽原温泉露天風呂は日が暮れて入ったので画像がありません!
でも温泉は、とってもいいお湯でしたよ〜〜
阿曽原温泉の夕食は、カレーだった!



翌朝、午前4時起床、朝食のお弁当を食べて、5時に阿曽原温泉小屋を出発!
急坂を150メートルほど登ると、道は水平歩道となった。
黒部川を遥か下に見ながら樹林帯を歩き、ところどころ小さな支流を横切る。
折尾谷を挟んで、断崖絶壁を逆コの字形に削った道が長々と続く。

オリオ谷の大滝 落差40メートルもあろうか 滝に打たれる(?)カラッチとmiyaちゃん

落差40メートルはあろうという滝の下を通り、ここで大休憩をとる。
一気に水が流れ落ち圧巻だ!!
足元に注意しながら、断崖絶壁の水平歩道を歩き、
大太鼓と呼ばれる辺りを過ぎると、志合谷が見えてきた。
志合谷は長さ150メートル程の曲がったトンネルでヘッドランプをつけないと真っ暗で何も見えない。
このトンネルは、手で掘られたそうで、トンネル内の至る所水浸しだった。
それも無理は無い、 トンネルの上は滝だった!!

逆コの字の水平歩道 よそ見したら落っこちるぞ〜
見事な岩切の水平歩道   miyaちゃんも頑張ってま〜す!

トンネルを抜けると再び断崖絶壁の道を延々と歩く。
やがて黒部川の深い谷を挟んで、奥鐘山の大岩壁が見えてきた。
「黒部の怪人」と呼ばれる黒部三大岩壁の一つだ!
奥鐘山は・・・何者も受け付けないないような姿で聳え立っていた。

大太鼓・・・奥にうっすら奥鐘山 黒部の怪人といわれる奥鐘山西壁 棒谷付近で・・・カケス


日電水平歩道からみた雪倉岳、そうして
先日歩いた白馬岳、杓子岳、鑓ケ岳、不帰ノ嶮が見え・・・感動!!

送電線の下を通り、シジミ坂を欅平まで急降下する。
10時40分無事・・・黒部峡谷鉄道・欅平駅に到着!
欅平駅の真下の猿飛温泉で、イワナの姿焼き付き山菜定食で舌鼓の後、
猿飛温泉露天風呂でゆっくり汗を流し、13時10分発のトロッコ列車に乗り宇奈月へ・・・

欅平駅 猿飛温泉露天風呂

黒部峡谷鉄道は、トロッコ列車が走る渓谷鉄道で
以前から一度乗ってみたいと思っていたが、紅葉の時期でないこともあってか・・・
トンネルも多くて期待した程でもなかった!
それでも宇奈月から欅平に向かうトロッコ列車は、どの車両も満杯だった!
下ノ廊下が素晴らしかったので、トロッコ列車の感激が少なかったのかな?
それにしても参加者31名、一人の怪我もなく無事下山出来たことは、
偏にN会長さんの入念な計画と、サポートのお陰と感謝していま〜す。
日本の秘境と言われる「下ノ廊下」を歩けて大満足でした。

猿飛温泉渓谷からトロッコ列車の通る有名な赤い鉄橋 トロッコ列車から・・・

下ノ廊下に入山する際には、関西電力叉は阿曽原温泉小屋にお問い合わせの上・・・
現在の情報を確認し最新情報を得て行動して下さい。



inserted by FC2 system